【データリテラシー】第2回 表計算ソフトの基本操作
表計算ソフトとは
表形式でデータを扱い様々な計算を行うアプリケーション(ソフトウェア)を表計算ソフト(Spreadsheet)という。 計算だけでなく、グラフを描いたり、マクロで作業を自動化することもできる。 表計算ソフトの代表的なものとしては Microsoft Excel や LibreOffice Calc などがある。
起動方法
操作画面
ワークシートのレイアウト
シート
縦横に分割された一枚の表をシートという。 表のそれぞれの枠をセルという。
セル
セルには数値、文字列、数式を入力する。 セルには直接入力できるが、数式バーを使っても入力できる。 セルごとに色を付けたり、装飾したりすることもできる。
列ヘッダ
列ヘッダには列番号がアルファベット(A,B,C,…)で示される。
行ヘッダ
行ヘッダには行番号が数字(1,2,3,…)で示される。
シート見出し
一つのワークシートには複数のシートを含めることができる。 シートはシート見出しで切り替えたり、追加・削除したりできる。
ショートカットキー
セルの基本操作
セルへの入力
セルには数・テキスト・日時・数式などが入力できる。
セルに入力したものを確定させるには Enter かカーソルキーを押す。 確定したくない場合は Esc を押す。
セルに入力したものがそのままシート上に表示されるわけではない。 例えば、数式を入力すると、シートにはその演算結果が表示される。 セルの内容は、セルを選択して数式バーを見るか、セルをダブルクリックすれば分かる。
数の入力
- 数字のみを入力して確定すると「数」として自動的に認識される。
テキストの入力
日時の入力
入力形式 | 自動認識 |
---|---|
西暦/月/日 時:分:秒 | 日付 |
西暦/月/日 | 日付(時刻は 00:00:00 になる) |
月/日 時:分:秒 | 日付(西暦は入力時の年になる) |
月/日 | 日付(西暦は入力時の年、時刻は 00:00:00 になる) |
時:分:秒 | 時刻 |
- 「
:秒
」の入力を省略すると 00秒になる。 - 日付の区切りは「
/
」もしくは「-
」でもよい。
数式の入力
- 頭に「
=
」を付けると「数式」として認識される。
セルの選択
単一セルの選択
- セルをクリックする。
連続する複数セルの選択
- 選択したい範囲のセルをマウスでドラッグする。
- マウスでドラッグしない方法
- 選択したい範囲の一つの角にあるセルをクリックする。
- 選択したい範囲の反対の角にあるセルを Shift を押しながらクリックする。
- キー操作のみで行う方法
- 選択したい範囲の一つの角にあるセルを選択する。
- Shift を押しながらカーソルキーで範囲を広げる。
連続しない複数のセルの選択
- 選択したいセルを Ctrl を押しながらクリックもしくはドラッグする。
全てのセルの選択
セルの内容の削除
- セルを選択して Del を押す。
セルの結合・分割
複数のセルを結合したり、結合したセルを分割したりできる。
結合
分割
セルを結合するとそのセルを利用した計算やコピペなどでうまくいかないことがある。 その場合はセルを分割してから行う必要がある。
セルの挿入・削除
挿入
空欄のセルを挿入する。
削除
セルのコピー・カット&ペースト
コピー&ペーストはいわゆるコピペである。
セルを選択し、コピーで一時的にコンピュータに記憶させ、ペースト(貼り付け)で記憶したものを貼り付ける。 コピー&ペーストは他のアプリケーション(Firefox など)との間でも一般的には可能である。
コピーの代わりにカット(切り取り)もできる。 コピーでは元のセルの内容は削除されないが、カットでは元のセルの内容は削除される。 カットしたものはコピーと同様にペーストで貼り付けられる。
コピー・カット
- コピーもしくはカットしたい範囲を選択する。
- 選択した場所で右クリックしてコンテキストメニューから選択する。
- コピーなら
[コピー]
(ショートカットキーは Ctrl+C) - カットなら
[切り取り]
(ショートカットキーは Ctrl+X)
ペースト
セルにペーストすると、上書きでペーストされるので、上書きしていい内容なのか注意する。
上書きせずに挿入する場合は、次のようにする。
マウスによるセルの操作
セル範囲の移動
セル範囲の移動はカット&ペーストで行える。
連続する範囲へのコピー
連続する範囲にセルをコピーしたい場合は次のようにする。
- コピーしたいセルを一つ選択する。
- 選択したセルの右下の角にマウスをのせるとカーソルが「+」に変わる。
- そこでコピーしたい方向にドラッグする。
絶対参照や相対参照(後述)の場合はコピー&ペーストと同じ動作になる。
数や日付の場合の動作
数や日付の場合には 1 ずつ以外の増減もできる。
例えば、列方向に $0,5,10,15,\cdots$ のように 5 ずつ増やしたい場合は以下のようにする。
- セルに「
0
」を入力し、その下のセルに「5
」を入力する。 - 値を入力した二つのセルを選択する。
- 選択したセル範囲の右下の角にマウスをのせるとカーソルが「+」に変わる。
- そこで下方向にドラッグする。
行や列の操作
ある行のセル全てや、ある列のセル全てについて同じ操作をしたい場合に、一つ一つのセルを操作するのは非効率である。 行や列については、「行ヘッダ」もしくは「列ヘッダ」を選択することでセルと同様の操作ができる。
行幅と列幅の変更
- マウスで変更する場合
- 幅を変更したい行もしくは列を選択する(複数選択可)。
- 選択した行ヘッダの行と行の境界、もしくは列ヘッダの列と列の境界をマウスでドラッグする。
- 数値で指定する場合
- 幅を変更したい行もしくは列を選択する(複数選択可)。
- 選択した場所で右クリックしてコンテキストメニューの
[行幅]
([行の高さ]
) もしくは[列幅]
([列の幅]
)を選択する。 - 幅を数値で入力する。
セルの書式設定
表示形式
数の桁区切りのカンマを表示
- 「カテゴリー」(「分類」)を
[数]
([数値]
)にして、オプションで[3桁区切り]
([桁区切りを使用する]
) のチェックを入れる。
数の小数点以下の桁数の変更
- 「カテゴリー」(「分類」)を
[数]
([数値]
)にして、オプションで[小数点以下の桁数]
の数字を変える。 - 表示される桁より一つ下の桁の数字が四捨五入されて表示されるが、これは表示上そうなっているだけで、セルの内容の数値はそのままである。
- 桁数が増えすぎてセルの幅を超えると「###」と表示される。
数をパーセントで表示
- 「カテゴリー」(「分類」)を
[パーセント]
([パーセンテージ]
) にする。
日付の表示形式の変更
- 「カテゴリー」(「分類」)を
[日付]
にして、形式から選択する。 - 西暦を和暦で表示することもできる。
時刻の表示形式の変更
- 「カテゴリー」(「分類」)を
[時刻]
にして、形式から選択する。
文字の配置
テキストの折り返し
セルの末尾でテキストを折り返す。
[テキストを自動的に折り返す]
([折り返して全体を表示する]
) のチェックを入れる。
フォントの自動縮小
セルの幅に合わせてフォントを自動的に縮小する。
[セルサイズに合わせて縮小]
([縮小して全体を表示する]
) のチェックを入れる。
枠線(罫線)
シート上のセルには初めから薄い枠線(罫線)が見えるが、これは印刷されない。
印刷される枠線(罫線)はこの操作で明示的に引く必要がある。
シートタブの操作
- シートタブに並んだタブをクリックすることでシートを切り替えることができる。
- シートタブの左にある
[+]
をクリックすると新しいシートを追加できる。 - その他の操作は、シートタブ上で右クリックしてコンテキストメニューから
[シートの挿入]
[シートの削除]
などを選択する。
検索と置換
セルに含まれる文字は検索したり、別の文字に置換できる。
検索
置換
ファイル形式
LibreOffice Calc で内容を保存するために一般的に使うファイルは拡張子が .ods のファイルになる。
Microsoft Excel で内容を保存するために一般的に使うファイルは拡張子が .xlsx のファイルになる。
LibreOffice Calc と Microsoft Excel では以下のファイル形式に対応している。
拡張子 | ファイル形式 |
---|---|
.ods | ODF 表計算ドキュメント(Open Document Spreadsheet) |
.xls | Microsoft Excel用ファイル(97-2003) |
.xlsx | Microsoft Excel用ファイル(2007以降) |
.csv | CSV ファイル(CSV 形式のファイル) |
CSV形式
CSV ファイルは拡張子が .csv のファイルで CSV 形式1)で保存されている。 CSV ファイルを emacs などのエディタで開いてみると分かるが、中身はプレインテキスト(平文)で、データが「,」(カンマ)で区切られている。
CSV ファイルは非常に単純なデータ構造をしているので利用がしやすく、表計算ソフトだけでなくプログラムでも扱いやすい。 しかし、設定した書式やグラフを保存するなどの複雑なことができないので、グラフなどと一緒に保存するには表計算ソフト独自のファイルフォーマット(拡張子が .ods や .xlsx のファイル)で保存することになる。
CSVファイルの例
文字コード
コンピュータ内部では、各種文字には番号が付けられて管理されている。 これを文字コードという。
コンピュータや OS ごとに異なる文字コードが付けられていると互換性に問題があるので、文字コード規格が定められている。 日本語の文字コードには歴史的経緯から複数の規格が存在し、現在も統一されていないため、気をつける必要がある。 その中で CSV ファイルに主に関係するのは以下の二つの規格である。
文字コード規格 | 説明 |
---|---|
UTF-8 | 日本語だけでなく、様々な言語の文字コードを定めた国際的な規格 |
Shift_JIS | 主に Microsoft の OS やアプリケーションで使用される文字コード規格 |
インターネットからダウンロードできる CSV ファイルは、ほとんどが Shift_JIS で書かれている。 これは Microsoft Excel で扱う CSV ファイルの基本的な文字コードが Shift_JIS だからである。
一方、UTF-8 はテキストファイルや HTML を扱うために主流になっている文字コードであり、Ruby などで扱うには UTF-8 の方が都合がよい。