MiniMagick

MiniMagick は Ruby で ImageMagick や GraphicsMagick の画像処理コマンドを使うためのライブラリである。 RMagick に比べてメモリ消費量が少ない。

インストール

gem を使って最新バージョンをインストールする。

% gem install mini_magick

Ubuntu では以下のパッケージが必要なのでインストールしておく。

imagemagick
graphicsmagick

Ubuntu ではパッケージ ruby-mini-magick があるが、バージョンが古くて機能が足りないかもしれない。

プログラム例

画像ファイルの読み書き

画像ファイル input.png を読み込み、画像ファイル output.png に書き込む。

inout.rb


#!/usr/bin/ruby
# coding: utf-8
 
require "mini_magick"
 
# 画像ファイルの読み込み
image = MiniMagick::Image.open("input.png")
 
# 画像ファイルの書き込み
image.write("output.png")

画像の新規作成

画像を新規作成し、画像ファイル output.png に書き込む。

画像用の配列 pix を用意して、配列で各ピクセルの色をいじった後、画像化して書き込む。
画像のサイズは幅を width、高さを height とする。
画像のピクセルの座標は (x,y) で表す。
- 横方向を x で表し、左から 0, 1, 2, …, width-1 の値をとる。
- 縦方向を y で表し上から 0, 1, 2, …, height-1 の値をとる。
各ピクセルは色を R, G, B（赤, 緑, 青）の 3 つの値で設定する。値は 0 から 255 の間の整数をとる。
- RGB確認ツール
配列 pix は3次元配列で、pix[y][x][c] で各要素を指定し、要素の値は R, G, B のどれかの値になる。
- x と y はピクセルの座標。
- c は RGB のいずれかを意味し、R なら 0、G なら 1、B なら 2 を使う。

ピクセルの座標と色

newimage.rb


#!/usr/bin/ruby
# coding: utf-8
 
require "mini_magick"
 
# 画像の幅
width = 8
 
# 画像の高さ
height = 16
 
# 画像用配列を用意して白で初期化する
# pix[y][x][c]
#  y:y座標 0,1,2,...,height-1
#  x:x座標 0,1,2,...,width-1
#  c:RGB 0,1,2
#  各要素の値は 0 から 255 までの整数
pix = Array.new(height) { Array.new(width) { Array.new(3, 255) } }
 
# ピクセルをいじる
#
#   pix[0][0][0] = 0
#   pix[0][0][1] = 255
#   pix[0][0][2] = 255
# は
#  pix[0][0] = [0, 255, 255]
# とまとめて書いてもよい
pix[0][0] = [0, 255, 255]
pix[0][1] = [255, 0, 0]
pix[0][2] = [0, 0, 0]
pix[1][0] = [0, 0, 255]
pix[1][1] = [95, 158, 160]
pix[1][2] = [0, 0, 128]
pix[2][0] = [255, 192, 203]
pix[2][1] = [255, 165, 0]
pix[2][2] = [255, 255, 0]
 
# 配列から画像にする
image = MiniMagick::Image.get_image_from_pixels(pix,
                                                [width, height],
                                                "rgb",
                                                8,
                                                "png")
# 画像ファイルの書き込み
image.write("output.png")

画像の上下反転

画像ファイル input.png を読み込み、y方向に上下反転して画像ファイル output.png に書き込む。

読み込んだ画像は一度、配列にして上下反転の処理をした後、画像化して書き込む。
上下反転の処理は each do を使って1ピクセルずつ処理する（効率は悪いが例として分かりやすくしている）。

画像の上下反転

例えば
- 水色のピクセルの座標は (0,0) で、上下反転すると (0,height-1) になる。
- 黄色のピクセルの座標は (1,1) で、上下反転すると (1,height-2) になる。

flip_vertical.rb


#!/usr/bin/ruby
# coding: utf-8
 
require "mini_magick"
 
# 画像ファイルの読み込み
image = MiniMagick::Image.open("input.png")
 
# 画像の幅
width = image.width
 
# 画像の高さ
height = image.height
 
# 読み込んだ画像を配列にする
pix1 = image.get_pixels
 
# 書き込む画像用の配列を用意する
pix2 = Array.new(height) { Array.new(width) }
 
# y座標を反転する
(0..(height - 1)).each do |y2|
  (0..(width - 1)).each do |x2|
    x1 = x2
    y1 = height - y2 - 1
    pix2[y2][x2] = pix1[y1][x1]
  end
end
 
# 配列から画像にする
image = MiniMagick::Image.get_image_from_pixels(pix2,
                                                [width, height],
                                                "rgb",
                                                8,
                                                "png")
 
# 画像ファイルの書き込み
image.write("output.png")

円の描画

円を描画して画像 output.png に書き込む。

極座標 $(r,\phi)$ を考え、$r$ を固定しつつ $\phi$ を 0° から 359° まで 1° ずつ動かして、その座標のピクセルを塗りつぶしていく。
極座標 $(r,\phi)$ からピクセルの座標 $(x,y)$ への変換は三角関数を用いる。

\begin{eqnarray*} x&=&r\cos\phi\\ y&=&r\sin\phi \end{eqnarray*}

三角関数の引数はラジアンなので、角度からラジアンに変換が必要。

\[ ラジアン=角度\times \frac{\pi}{180} \]

この方法は三角関数の説明のためのもので、きれいな円を描画するには他によいアルゴリズムがある。

circle1.rb


#!/usr/bin/ruby
# coding: utf-8
 
require "mini_magick"
 
# 画像の幅
width = 300
 
# 画像の高さ
height = 300
 
# 画像用配列を用意して白で初期化する
pix = Array.new(height) { Array.new(width) { Array.new(3, 255) } }
 
# 円の中心
x0 = width / 2
y0 = height / 2
 
# 円の半径
r = 100
 
# 円の描画
(0..359).each do |i|
  # 角度からラジアンに変換
  phi = i * Math::PI / 180
 
  # (x,y)座標の計算
  x = (r * Math.cos(phi)).round + x0
  y = (r * Math.sin(phi)).round + y0
 
  # 座標のピクセルを塗る
  pix[y][x] = [0, 0, 0]
end
 
# 配列から画像にする
image = MiniMagick::Image.get_image_from_pixels(pix,
                                                [width, height],
                                                "rgb",
                                                8,
                                                "png")
# 画像ファイルの書き込み
image.write("output.png")