【情報リテラシー】第5回 GIMP

画像を描いたり編集したりするためのアプリケーションにはペイント系とドロー系がある。

• 画像データはラスター形式（格子状に区切られた画素のデータ）になる。
• 筆やブラシ等を使って微妙なタッチを描くのが得意。
• 拡大・縮小するとぼやけたりつぶれたりして劣化する。
• 写真や絵画などの繊細な色を使う画像で使われることが多い。

• 画像データはベクター形式（線や幾何図形の端点の座標データ）になる。
• 線や図形を描くのが得意。
• 拡大・縮小しても基本的に劣化しない。
• 地図やポンチ絵などの図形の境界がはっきりした画像で使われることが多い。

GIMP（ギンプ、ジンプ）とはフリーで利用できるペイント系の画像編集アプリケーションである。 Linux, macOS, Windows用があり、自分の PC にインストールして使うこともできる。

• GIMP
• GIMP 2.10 オンラインマニュアル

ここではバージョン 2.10 について説明する。

1. ウインドウの無い場所でマウスの左ボタンを押し、ルートメニューを表示する。
2. ルートメニューの [マルチメディア]→[GIMP2.10] を選択する。

GIMP を起動すると初期状態ではシングルウインドウモードになっており、1つのウインドウが開く。

マルチウインドウモードにすると、画像ウインドウと左右のツールボックスなどは別ウインドウに分けることができる。 シングルウインドウモードとマルチウインドウモードは、メニューから [ウインドウ]→[シングルウインドウモード] のチェックによって切り替えられる。

基本的な操作はツールアイコン、もしくはメニューから機能を選択する。

直前の操作を無効にすることをアンドゥという。 メニューの [編集]→[元に戻す]（ショートカットキーは Ctrl+Z）でアンドゥができる。 操作を失敗してもアンドゥでいくつか前の操作まで元に戻せる（限界はある）ため、覚えておくと便利である。

ツールアイコンの基本的によく使う機能を下図に示す。 ツールアイコンの配置は異なるかもしれない。

新しく画像を描くキャンバスを作成する。

1. メニューの [ファイル]→[新しい画像] を選択する（ショートカットキーは Ctrl+N）。
2. キャンバスのサイズを「幅」「高さ」で指定する。
   • [詳細設定] をクリックして、「塗りつぶし値」でキャンバスを何色で塗りつぶすか設定できる（デフォルトは「背景色」）。
3. [OK] をクリックする。
4. 画像ウインドウに新しいキャンバスが用意される。

画像に絵を描くための機能は多く備わっている。

ツールアイコンの [鉛筆で描画] アイコンをクリックしてブラシダイアログから様々なタイプの鉛筆を選択できる。

鉛筆の色を変えたいときは、ツールボックスの「描画色」をクリックして選択する。

直線を引くことも簡単にできる。 直線の始点としたい位置をクリックし、Shift キーを押しながら終点としたい位置をクリックするとその二点を結ぶ直線が引ける。

ツールアイコンの[塗りつぶし]アイコンを選択し、塗りつぶしたい場所をクリックする。 どのような範囲を塗りつぶしたいかはツールオプションの「塗りつぶす範囲」で指定できる。

あらかじめ塗りつぶしたい範囲を選択する場合は、ツールアイコンの[矩形選択]や[楕円選択]アイコンなどが使える。

スポイトは画像上のクリックした位置のピクセルの色を取得できる。 得られた色が「描画色」となる。

画像を読み込んで画像ウインドウに表示する。 画像だけでなく PDF ファイルも読み込める。

1. メニューの [ファイル]→[開く/インポート] を選択する。
2. 読み込みたい画像ファイルを選択する。

PDF を読み込む場合は解像度を指定することができる。

画像を XCF 形式でファイルに保存する。

XCF 形式は GIMP 独自のフォーマットで、画像編集に役立つレイヤー等の情報もすべて保存できる。 後から GIMP で再編集したい画像なら XCF 形式で保存した方がよい。

1. メニューの [ファイル]→[保存] か [名前を付けて保存] を選択する。
2. ファイル名を付ける。
3. [保存] をクリックする。

XCF 形式は他のアプリケーションでは使えないので、他の画像ファイルフォーマットで保存したいときは画像のエクスポートで行う。

画像を様々なフォーマットでファイルに保存する。

1. メニューの [ファイル]→[エクスポート] か [名前を付けてエクスポート] を選択する。
2. ファイル名を付ける。ファイル名の拡張子によって画像ファイルフォーマットが自動的に決定される。
   • [ファイル形式の選択] のチェックを外すと、一覧から画像ファイルフォーマットを選択できる。
3. [エクスポート] をクリックする。

以下は主に使われている画像ファイルフォーマットである。

レイヤーとは「層」のことである。 透明なフィルムに図形や文字を描いてそれぞれのフィルムを重ねるというイメージである。

• レイヤーは重ねる順番に意味がある。
• レイヤーは不可視化できる。

レイヤーの操作はレイヤーダイアログで行う。

エクスポートした画像ファイルにはレイヤーの情報は保存されないので注意が必要である。

画像を拡大や縮小して表示することをズームという。 ズームは表示を変更するだけなので、画像自体は変更されない。

1. ツールアイコンの [ズーム] アイコンをクリックする。
2. 画像をクリックしたり、ドラッグすると画像を拡大して表示する。Ctrl キーを押しながら操作すると画像を縮小して表示する。

ズームの倍率（表示倍率）を明確に決めたければ、メニューを使う。

1. メニューの [表示]→[表示倍率] を選択する。
2. 様々な倍率を選択できる。

画像を実際に拡大・縮小する。 ラスター形式のデータなので、拡大・縮小すると劣化が起こる。

1. ツールアイコンの [拡大・縮小] アイコンをクリックする。
2. 画像をクリックすると「拡大・縮小」のウインドウが表示される。
3. 「拡大・縮小」のウインドウで「幅」「高さ」の値を変更するか、マウスで画像をドラッグする。
   • 鎖のアイコンが繋がっているときは、「幅」「高さ」の片方の値を変更すると縦横の比（アスペクト比）が保たれるようにもう片方の値も自動的に変更される。
   • 鎖のアイコンが切れているときは、「幅」「高さ」の値を独立に変更できる。
4. [拡大・縮小] をクリックする。

1. メニューの [画像]→[画像の拡大・縮小] を選択する。
2. 「幅」「高さ」（もしくは「水平解像度」「垂直解像度」）の値を変更する。
   • 鎖のアイコンが繋がっているときは、「幅」「高さ」の片方の値を変更すると縦横の比（アスペクト比）が保たれるようにもう片方の値も自動的に変更される。
   • 鎖のアイコンが切れているときは、「幅」「高さ」の値を独立に変更できる。
3. [拡大・縮小] をクリックする。

スクリーンショットとは、画面やウインドウをそのまま画像として取り込むことである。

1. メニューの [ファイル]→[画像の生成]→[スクリーンショット] を選択する。
2. 「取り込む範囲」で [単一ウインドウ] [画面全体] [指定した範囲] のいずれかを選択する。
3. 「取り込むまでの待ち時間」で何秒後に取り込みを開始するかを設定する。
4. [スナップ] をクリックする。
   • [単一ウインドウ] の場合は、マウスカーソルが「＋」になった後に取り込みたいウインドウを左クリックで選択する。
   • [画面全体] の場合は画面全体が自動的に取り込まれる。
   • [指定した範囲] の場合は、マウスカーソルが「＋」になった後に取り込みたい範囲を左マウスボタンを押しながらドラッグする。

単一ウインドウの場合、選択したウインドウの範囲が画面上で映っているまま取り込まれるので、選択しようとするウインドウが一番上にある状態で選択する必要である。 取り込むまでの待ち時間を数秒設定すると、マウスカーソルが「＋」になるまで余裕ができるので、その間に選択しようとするウインドウを一番上に持ってくるとよい。

画像の必要な部分を切り抜いて不要な部分を削除する。 トリミングともいう。

1. ツールアイコンの [切り抜き] をクリックする。
2. 画像で切り抜きたい範囲をドラッグで選択する。
   • ドラッグした範囲を変更したい場合は、範囲内の端に表示される四角形をドラッグする。
3. ドラッグした範囲内をクリックする。